目次
1 経済・産業
1-1 財政・金融政策
1-2 税制
1-3 産業・中小企業政策
1-4 労働政策
2 脱原発グリーン・ニューディール
2-1 気候変動・脱原発・エネルギー政策
2-2 自然環境保護
2-3 防災インフラ
3 農林水産・動物福祉
3-1 農林水産政策
3-2 動物福祉(アニマルウェルフェア)
4 子ども・ジェンダー
4-1 子ども主権
4-2 子育て・教育政策
4-3 ジェンダー平等
4-4 性の自己決定と多様性の尊重
4-5 性暴力
7 政治改革・行政改革・情報公開
7-1 政治改革
7-2 司法・行政改革
7-3 選挙制度改革
7-4 情報公開・公文書管理
8 憲法・外交安全保障
8-1 現行憲法の尊重
8-2 外交・安全保障
1経済・産業
「国の借金は国民が返さなければいけない」「税金だけが財源である」といった政府の宣伝はウソである。このウソは、人々から税金などを搾り取り、その裏で富裕層を優遇するために使われている。私たちはこのウソを否定する。日本の通貨は信用貨幣である。これは国の支出によって生まれ、課税によって回収され、その差額が日銀券や日銀当座預金、そして国債の形で世の中に残るのである。税によって財源を確保しなければ、国の様々な施策を行うことができないというのはウソである。支出が先に行われ、税収は後から入ってくる。この認識に基づき、私たちは人々のための財政支出を行うべき、と訴えている。国の責任でお金を確保し、財政政策と金融政策で通貨価値の安定を図る。
私たちも富裕層や大企業への課税を主張するが、それは必要な財源を確保するというのが主要な目的ではない。税の主な役割は、格差を正す再分配と、景気過熱の抑制による通貨価値安定化、そして二酸化炭素排出などの望ましくない経済活動の抑制にある。私たちは、公正な課税に向けて、国内での努力のみならず、世界の99%の人々とつながって税制ルールを確立していく。
そして、人間の価値を生産性で語る世の中を変えよう。死にたくなるような世の中は、政治によって変えられる。そんな世の中をつくってきたのは政治だからだ。生きていて良かったと思えるような社会を、政治を通してつくっていこう。
1-1 財政・金融政策 積極的な財政・金融政策で経済を活性化し、賃金と雇用を増やす!
政府の財源は、税金だけではありません。新規国債の発行も財源のひとつです。わたしたちは、需要が不足し失業が生じている局面では、支出拡大や減税によって総需要を刺激します。反対に、総需要不足や失業が解消されてインフレが過熱している不況・景気停滞局面では、大規模な公共工事などを中心に不要不急の財政支出を削減し、儲かっている人や企業への課税を強化することで、総需要を引き下げます。財政運営の目安となる物価安定目標は、政府が決定します。現行の物価安定目標は、消費者物価指数の上昇率2%ですが、5年平均で3%程度を許容範囲とし、長期的に2%で安定させることを目標にします。
ギリシャのような自国通貨建て国債を発行できない国々と異なり、「通貨発行権」のある日本の政府にとって、財政赤字や国債残高は財政の健全性にとって意味のない指標です。プライマリーバランス黒字化目標を破棄し、物価上昇率に慎重に配慮した本当の意味での健全財政の運営を行います。そして、介護・医療・子育て、および持続可能なエネルギーなどの分野で基盤整備の資金と働く人々の給与などとして大胆に財政出動を行い、積極的に経済を回します。
・積極財政で、暮らしを支える公共サービスを拡充する
・誤った財政目標である、プライマリーバランスは破棄する
・持続的な2%の物価安定目標の達成で、景気回復を実現する
・積極的な金融政策で経済を活性化させ、適正な賃金や収入の得られる雇用・生業を増やす
・財務省の任務を規定する財務省設置法第3条の「健全な財政の確保」を削除し、日本銀行法の「国民経済の健全な発展」と一致させることで、緊縮財政から脱却する
・日本銀行は国会の民主的コントロールのもとにおき、物価安定目標は主要国の目標を参考に国会で定める
・財政投融資を活用し、ケア・グリーン・デジタルなどの産業・事業への投資で、国と地方の経済を活性化し、雇用を生み出す
・郵政事業を再公営化し、現ゆうちょ銀行の預金は国債や公的なグリーン債等の購入に充てる
・再公営化した郵政3事業(郵便・貯金・保険事業)は地方の自治体、生活を支える金融インフラとして活用する
・主要国では例を見ない国債の「60年償還ルール」を見直し、借り換えを行う
1-2 税制 税制改革で格差是正、炭素や汚染物質の排出削減、物価の自動安定を実現する!
消費税は1989年に導入されましたが、その本質は、経団連の要望で実施された法人税減税のための穴埋め財源です。消費税は低所得者ほど負担が重く、「消費に対する罰金」とも言えるもので、景気回復を妨げています。私たちは消費税を廃止し、家計を支援するとともに、中小零細事業者の負担を軽減します。また、これまでグローバル化の名のもとに海外に移転していった製造業の生産拠点を国内に呼び戻し、「れいわグリーン・ニューディール政策」などの産業政策を通じて、安定した雇用を創出します。国内の既得権者を優遇する税制を改正するとともに、世界の人々と連携し、1%が支配する国際経済のあり方を問い直します。
・消費税は廃止する。最低でも5%への減税を実現する
・中小事業者やフリーランスの負担となる「インボイス制度」の導入は撤回する
・法人税を引き上げ、累進課税を導入する。不況期には設備投資が滞らないための措置を検討する。大企業優遇となっている、現行の複雑な税制や租税特別措置を整理する
・所得税の累進を強化する
・金融所得課税は、株の配当や譲渡益を分離課税とする現行制度を見直し、総合課税を検討する。金融所得が1億円を超えると負担率が下がっていく現行の優遇税制を見直す
・大企業の自社株買いに課税し、株価ではなく企業の利益を従業員に分配するように動機付ける
・タックスヘイブンを利用した日本の大企業の租税回避を規制し、公平で公正な負担を求める
・財産相続によって格差が固定されないよう、是正方法を検討する
・不況期には高額資産への資産課税を実施することで、富裕層の支出を促す
・国際的な金融取引に対する課税や金融資産課税の導入を検討し、タックスヘイブン、課税逃れへの取り締まりを国際協力のもとで強化する
・炭素などの温室効果ガスや汚染物質の排出に課税し、排出削減を促すことで健康や環境への被害をなくす。税収は現金給付に回し、負担増とならないよう配慮する
・法人税を累進課税を導入し、所得税の累進を強化することで、物価の自動安定化を目指す
・重すぎる社会保険料負担を軽減し、所得税の累進強化と併せて公正な負担となるよう制度を見直す
・インフレ抑制が必要な場合は、優先度の低い設備投資への課税を検討する
・円安など為替の変動による企業の棚ぼた利益に課税を検討する(ウインド・フォール税)
・雇用を海外移転する企業への税控除廃止と国内回帰する企業への税控除を導入する。日本企業の海外収益への課税を強化する
・将来的に介護保険制度は廃止し、累進性を組み込んだ税方式にすることを検討する
1-3産業政策・中小企業政策 ケア・グリーン・デジタル産業と中小企業の活性化で、地域経済を強くする!
私たちは中小企業の淘汰や雇用の流動化に反対します。そして、「生産性が低い」という誤った認識で中小企業を淘汰しようとする政治からの転換を図ります。日本の企業の99.7%は中小企業です。従業者の7割、地方では8-9割が中小企業で働いています。中小企業を守ることは、雇用を守ることであり、地域経済全体のためであり、経済の生産能力を維持しておくことでもあります。そして、労働組合、生活協同組合、NPOなど、多様な働き方で、豊かな地域経済をつくり出していきます。
・日本企業の99.7%を占める中小企業数を減らさないという政策目標を復活させる
・中小企業に対しても、脱炭素などの環境保護規制や最低賃金引き上げなどの労働関係ルール、ジェンダー平等、多様性尊重などのルール強化を追求する。その際、中小企業にとって負担が重くなりすぎないよう、補助金、社会保険料負担の軽減、政策金融機関を通じた融資などによる支援制度を整備する
・防災や老朽インフラの長期的・計画的な更新で、地域の小企業に安定した仕事を確保する
・再生可能エネルギーへの転換を通じ、小型の発電・蓄電設備の製造や設置・保守点検などで、地域に産業と雇用を創出する
・再生可能エネルギー転換にともなう小規模電源を、住民はじめ関係当事者が管理する仕組みとして、協同組合という形態を利用しやすくする
・保育所など福祉事業においても、協同組合の形態を利用しやすくすることで、利用者や従業者の自主運営をすすめる
・地方金融機関を地方の中小企業を支える公共的役割を持つものと位置付け、制度改革を行う
・原発は廃止し、グリーン産業に10年間で少なくとも200兆円(毎年国費5兆円、民間資金15兆円)の投資を行い、持続可能な産業への転換を加速させる
・再生可能エネルギーの需給を調整する、デジタル技術の開発・導入をすすめる
・省エネなどのエネルギー効率化で光熱費を削減する、ESCO事業を推進する
・デジタル技術による監視社会化を防ぎ、個人情報を保護するための法制度を強化する
・最新のデジタルインフラ整備を国が保障するとともに、その行政における活用については、個人データの利用についてのコントロール権や幅広い住民の合意を担保する
・マイナンバーカードは廃止する。保険証や免許証の統合は行わない
・現行のマイナンバー制度は、国家による個人監視や社会保障の削減につながる懸念があることを踏まえ、抜本的に見直す。公正な税の徴収と現金給付などに特化した、デジタル制度を新たに検討する
・マイナンバーの活用については、個人情報保護などの観点から、情報連携及び利用範囲の拡大をいったん白紙に戻す
・企業主導のスーパーシティ構想は中止し、住民参加で行政のデジタル活用を考える
・「人減らし」のためのデジタル技術活用ではなく、労働力不足を補うための活用を重視する
・巨大IT企業のデータ独占を禁止し、データは公有財産であるとの認識に立って、あらゆる人が恩恵を受ける「データ・コモンズ」を促進する
・個人情報の保護を担保した上で、公益性が高く、デジタル格差の是正につながるAI・デジタル事業を支援し、活用を促進する
・医療分野などにおけるビッグデータの活用やゲノム医療については、個人情報の保護、差別の防止及びその他の倫理的な問題点を審査、議論する公的機関の設置を前提とし、安易な推進は行わない
・政府機関が調達する商品については、国内調達比率の引き上げを行う
・エネルギーなどの重要産業や半導体産業などの先端産業については、国内生産を一定の比率で維持する、あるいは高めることを条件に補助金を交付する
・国有・公有・協同組合など企業所有形態の多様な在り方を促進する
・協同組合など社会的事業所に対する支援を行う。協同組合の形態を利用しやすくするために、起業時の無利子及び低利融資や期間を定めた人件費補助などの措置を図り、利用者や従業者の自主運営をすすめる
・農業などの慢性的な人手不足産業、省力化が可能な産業については、省力化、自動化に資する技術の開発を積極的に行う
・交通の自動運転技術については安全性の確保を前提とし、安易な推進は行わない
・日本の成長を支えてきた製造業の空洞化を止め、日本が誇る「ものづくり」の技術や知見を継承していくために、国が財政出動で「メイド・イン・ジャパン」を支える
・製造業の構造転換や国内回帰を国が支えるとともに、それらの産業を担う職人や技術者の、雇用の安定化と賃金の改善を目指す
1-4 労働政策 大胆な財政出動で、1000万人の安定雇用と賃金を爆上げする!
国の財源を活用し、新卒者やロスジェネ世代だけでなく、幅広い世代で正規雇用を増やします。また、日本は先進国の中でも最も公務員の少ない国のひとつです。自治体への交付金の増額や、災害対策、インフラ維持・更新をはじめとする公共事業の復活で公務員を増やします。さらに、医療・介護・保育などケア従事者の賃金と待遇を大幅に改善し、ケアの現場で働く人を増やします。
・ロスジェネ世代をはじめとして、希望する人に安定した雇用を保障する
・グリーン産業に10年間で官民合わせて200兆円を投資し、毎年250万人規模の雇用を創出する
・年間3兆円の財政投資で介護従事者の給与を月10万円引き上げ、介護の現場で働く人を増やす
・年間7200億円の財政投資で保育従事者の給与を月10万円引き上げ、保育の現場で働く人を増やす
・看護師や病院事務職員などの処遇を大幅に改善し医療従事者を増やすことで労働時間や業務負担を減らす
・最低賃金を全国一律1500円に引き上げる。中小企業には負担軽減のため、社会保険料の減免等の徹底支援を行う
・過労死をゼロにする。違法な不払い残業を根絶する
・派遣法を根本から見直す。派遣労働を含む有期労働契約を既存の就業が失われないよう配慮しつつ、原則禁止する。やむを得ない有期労働については臨時的に認められる条件を法律に明記する
・フリーランス支援については、「労働者性の認定」を含めた法的位置付けの議論を早急に行う
・同一価値労働・同一賃金を実現する。仕事内容が同じなら、賃金、福利厚生、その他の待遇は正社員か非正社員かにかかわらず同一とする
・全国の自治体でロスジェネ世代(就職氷河期世代)を10年間で10万人、地方公務員として採用する
・ロスジェネ世代の実態調査を行い、給付付きの職業訓練などの支援を行う
・ギグワーカーのような個人事業者の形態をとる雇用については、偽装請負を根絶する。企業に雇用責任を全うさせるとともに、労働者としての権利を保障する
・非正社員が希望する場合、直接雇用・無期雇用の正社員に転換できるようにする。派遣労働者についても、希望する場合、同一の事業所での勤務や直接雇用に転換できるようにする
・労働法全般において、使用者側の雇用責任を明確にする規定を拡充・創設し、罰則を明文化する。違法・潜脱・脱法に対しては罰則の強化を図り、労働者保護を徹底する
・恣意的な雇用調整の手段となっている「シフト制」への法的規制を行う。実質5割を切るケースも多い休業手当の補償率を引き上げる
・フランチャイズ業界の健全な発展のため、フランチャイズ本部と加盟店・加盟者が対等な関係を築ける「フランチャイズ規制法」を制定する
・大学院を卒業した「ポスドク」については、国会における立法スタッフなど、専門性を持った調査員として積極的に雇用する。他にも、海外留学経験を持つ有為人材を国会の調査部門や国会における議院法制局、国会図書館などで起用する
・公務員の採用に、大学院経験や留学経験が正当に評価される仕組みを導入する
・「高度プロフェッショナル制度」を廃止し、裁量労働制の規制を強化する
・法定労働時間を短縮するとともに、労働基準監督署の予算と人員を拡充し、違法な不払い残業、いわゆる「サービス残業」をなくす
・残業の割増賃金率を大幅に引き上げ、残業時間上限を大幅に引き下げる
・雇用・賃金における男女格差をはじめ、あらゆる格差と差別をなくす
・違法行為を明文化し、刑事罰・民事救済を規定した「ハラスメント禁止法」を策定する
・ハラスメント被害が認定された場合、医師やカウンセラーによる診療・ケアや、労災保険の適用につなげるなど救済措置の制度化を目指す。また労働基準監督署のもとに、二次被害の心配のない相談窓口を設ける
・労働基準監督官・事務官への人権研修を徹底し、企業に対する資料開示命令など、権限を拡大する
・あらゆる職業差別をなくし、いかなる職業分野からも人権侵害や違法な労働条件をなくす
・障害者の就業を一層促進する
・ILO条約の「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約」(第111号)をただちに批准する
・国際労働機関(ILO)が提唱する「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」を実現する
・公務員のストライキ権を復活させる
・労働組合運動を支援する。公労使の三者構成による労働政策審議会を、他の諮問機関よりも優越する機関と位置付け、労働者代表には多様性、当事者性が反映されるようにする
・「官製ワーキングプア」と言われる非正規公務員の賃金と待遇を改善する。生活相談員や図書館司書などは正規職員とし、専門性や経験が正当に評価されるようにする
・技能実習制度などは、国内労働条件の悪化の原因でもあり、廃止する
・外国人労働者の待遇を改善し、賃金などの労働条件で差別されないよう規制する
・雇用の流動化を目的にしたリスキリングではなく、安定化につながる「給付付き学び直し」を促進する。所定労働時間を学び直しに充てることができるようにするとともに、出産・育児等で離職した女性に復職あるいは安定した再就職ができるような機会を提供する
・建設業界、運輸業界における劣悪な労働環境による人手不足を本質とした「2024年問題」を乗り越えるため、賃上げや労働環境の改善を行う。また、多重下請け構造を改善する
・トラックドライバーの最低賃金を設定する。また十分な賃上げ原資が確保できる水準の標準運賃を設定し、その確実な運用を行う
・育児、家族介護、障害、がんなどの病気を抱えた人の就業継続を保障するしくみをつくる
2脱原発!グリーン・ニューディール
私たちは、あなたの命を守り、あなたの命を受け継ぐ命を守るために闘う。消費税の引き上げや緊縮策を求めてきた勢力と、原発や石炭火力に固執する勢力は、同じ類の政官財の支配者集団である。政治を彼らから、私たちの手に取り戻そう。地震国の日本から、今すぐ原発をなくそう。同時に気候危機にも対処し、再生可能エネルギー100%の社会を目指そう。日本が持つ財政の力を活用し、デフレ脱却を実現させ、産業空洞化を防ごう。日本の廃炉技術と再生可能エネルギー技術を世界最先端にしよう。光熱費の安い快適な住まいと防災インフラで、すべての人々の命を守ろう。医療・介護・保育を充実させ、そこで働く人々の暮らしも向上させよう。そして、誰も取り残されることのない「共存のための強靱な経済」をつくろう。
2-1脱原発・エネルギー 「公正な移行」でエネルギー転換を支え、脱原発・脱炭素を実現する
原子力発電所や関連施設は即時、使用を禁止します。その上で国が事業者から買い上げ、最先端の技術を用いて慎重に廃炉を進めます。原発廃止後は原子力損害賠償・廃炉等支援機構を改組し、透明性を高め、被害者を誰も取り残さない形で、東電と国の責任で賠償を行う仕組みを構築します。またエネルギー消費量を6割削減し、2050年までに自然エネルギー100%、温室効果ガス排出ゼロを目指します。そして「公正な移行(Just Transition)」の原則に沿った産業構造の転換及び雇用の転換を目指します。
●廃炉ニューディール 脱原発・廃炉ニューディールで全国に安心を、地域に未来を、被害者に賠償を
・原発は即時禁止し、政府が買い上げて廃炉をすすめる。廃炉を行う国営の組織をつくり、十分な国費を投じて最先端の技術を用い、慎重に廃炉をすすめる
・原発立地地域が原発廃止によって経済的打撃を受けないよう、誰ひとり取り残さない「公正な移行」を徹底する。移行措置として、これまでの電源三法交付金と同様の財政的支援を継続するほか、「廃炉ニューディール」で地域の産業・雇用を維持する
・原発禁止後は原子力損害賠償・廃炉等支援機構を改組し、透明性を高め、東京電力福島第一原発事故の被害者を誰も取り残さない形で、東電と国の責任で賠償を行う仕組みを構築する
・原発被災者である福島県民の健康管理については、国が健康診断の費用を負担する。また医療費の無償化の継続と拡大を行う
・東日本大震災の被災地の復興支援は地域の住民の意見を最優先する
・六ヶ所再処理工場などの核燃料サイクル事業を即時中止し、政府の責任で核廃棄物を保管する
・東京電力福島第一原発の汚染水の海洋投棄は中止し、半減期1570万年のヨウ素129などの核種除去技術が確立するまで陸上で保管する
●自然エネルギー 脱原発と脱炭素を両立させ、日本を自然エネルギー大国に
・温室効果ガス排出量は2030年までに70%削減し、2050年までのできるだけ早い時期にゼロにする
・2030年までにエネルギー供給の70%を、再生可能エネルギーでまかなうことを目指す。そして2050年までのできるだけ早い時期に再生可能エネルギー100%を達成する
・脱原発・脱炭素までは既存の火力発電所を活用し、段階的に廃止する
・石炭火力発電所の新設を禁止し、2030年までに石炭・石油火力発電所の運転を終了する
・暮らしの質を高めながらエネルギー利用効率を高め、2030年までにエネルギー消費量を40%削減し、2050 年までに60%削減することを目指す
・国内の金融機関や投資機関が、外国の石炭火力発電所建設に融資・投資することを禁止する
・固定価格買取制度(FIT)を改善し、地域社会や環境・景観等に配慮しながら最大限の再生可能エネルギー導入を実現するとともに、電力消費者の負担を最小化する
・送配電網が公正に活用されるよう、送電網の所有権分離を徹底する。必要ならば政府はこれを国有化し、公共投資によって最先端の送電網の建設をすすめる
・自然エネルギーを活用する新電力を支援するために、送電網のルールは抜本的に見直し、優先接続や優先給電を保障する。また、連係工事負担金や発電側基本料金のあり方を見直す
・自然エネルギーの導入に関して、渡り鳥の飛行ルートや森林などの自然環境の破壊を防ぎ、地域社会との摩擦を防ぐためのルール(ゾーニング等)を整備する
・世界風力エネルギー協会(WWEA)のコミュニティパワー三原則(地域のオーナーシップ、議決権、利益還元)に則り、コミュニティパワーの拡大を目指す
・大規模な送電システムのみならず、小規模の分散型送配電を推進する。また再生可能エネルギーによる水素の製造や蓄電池など、各種エネルギー貯蔵技術の普及を推進し、自家発電と非常用電源の活用を拡大する
・高性能化と省エネ化の技術革新で、日本が次世代半導体開発における自律性を確保するための支援を行う
・工場やごみ焼却施設の排熱や余剰温熱・冷熱を利用する「地域熱供給システム」を各地に普及させる
・10年間で官民あわせて200兆円のグリーン投資を行い、再生可能エネルギーや省エネルギーのほか、エネルギー供給インフラや脱炭素化新技術などのグリーン産業で、毎年250万人規模の雇用を創出する
・国の水素基本戦略を抜本的に見直し、脱炭素化の代替手段がない分野での活用をすすめる。再生可能エネルギーを利用した国産のグリーン水素・グリーンアンモニアの供給を拡大する
・電力システムのデジタル化をすすめ、市場メカニズムによる需給コントロールを実現する。最先端の ICT 技術によりエネルギーの需給を最適化する
・レアメタル、太陽光パネル、その他グリーンインフラのリサイクル体制を国家戦略として確立する
・再生可能エネルギーを拡大するために、再エネの出力抑制ではなく火力の出力抑制を行う
・電力ひっ迫や災害などに備え、地域をまたいだ電力融通の制度や技術の構築を積極的に国が支援する
・再生可能エネルギー普及を最優先にしながら、つなぎのエネルギー源としてLNG(液化天然ガス)発電などを活用する。また天然ガスの供給を多様化するための外交政策を展開する
・営農しながら農地で自然エネルギーによる発電を行う「ソーラーシェアリング」を普及させる
・森林資源を木材生産、炭素吸収、生物多様性の保全、そしてエネルギー供給源としてバランス良く活用する
●公正な移行 誰ひとり取り残さず、産業構造と雇用を転換する
・脱原発・脱炭素に伴う地域経済の激変緩和や失業対策として、雇用創出、職業訓練、学び直しなどの支援に加え、所得補償制度などを創設し、誰ひとり取り残さない「公正な移行」を徹底する
・規制や産業の移行にあたっては、下請けの切り捨てや中小企業の淘汰につながらないよう配慮し、当事者のコンセンサス(合意)と影響調査にもとづき、常に点検・修正しながら施策をすすめる
・圧倒的な国費投入で、数十万人規模の良質な「低炭素型雇用」を創出する。特に人手不足が深刻な介護・保育・医療などのケア労働や教育分野の賃金を大幅に引き上げることで、雇用の受け皿とする
・国が「低炭素産業」でもある、文化・芸術の発展を支え、担い手を支援する
・現在、ガソリン税ゼロを掲げているが、将来の景気回復と安定的な賃上げの実現を前提に、炭素税などの「カーボンプライシング」を導入して脱炭素をすすめることを検討する。既存のガソリン税は、炭素税として改組し、これらの「バッズ課税」によって得られた税収を「炭素配当」として現金給付することも検討する
2-2自然環境保護 日本の美しい自然を守る
自然環境を保全し生物多様性を維持することは、農林水産業や防災対策としても決定的に重要です。日本の美しい自然は私たちの歴史や文化の源泉であり、重要な資源であり、大切に保全・継承していく必要があります。
・生物多様性の保全と持続可能な利用をすすめる
・プラスチックごみ回収の技術開発、システム拡充をすすめ、プラスチックごみの海洋汚染対策を強化する
・中小企業淘汰につながらないよう配慮しながら、拡大生産者責任の考えに基づき、プラスチック材料製品の生産抑制、使用・廃棄の規制とともに、代替材料・製品の開発をすすめる
・実効性のある環境アセスメントを実現するための法改正を行う
・再生可能エネルギーの導入にあたっては、居住実態のある地域住民の参加と出資を要件とし、大企業などによる乱開発を防ぐ
・毒性が懸念されている有機フッ素化合物(PFAS)による水の汚染については、米軍基地・施設を含む汚染源への立ち入り調査を速やかに実施し、国の責任で原因究明を行う
2-3防災・インフラ政策 徹底した防災対策とインフラ整備で、いのちと暮らしを守る
洪水や渇水、土砂災害等の被害を最小限にするために、防災インフラの整備を行います。防災インフラの改修・増強のための公共事業においては、地元の人々を主に雇用し、地元の事業者が主に工事の重要な部分を担うよう体制を整備します。また必要な施設の新規建設をすすめます。鉄道・路面電車・バスなど、低炭素な公共交通システムも充実させます。
●防災
・「防災省」を設置し、洪水や渇水、土砂災害、感染症災害の被害を最小限にするため、省庁横断的に政策的・技術的資源を提供する
・自然災害の被害を最小限にするために、センサー等を備えたインフラを整備する
・インターネットを通じて気象予測情報をリアルタイムで提供し、地域の危機管理に活かす
・熱中症予防の情報システムの開発や、感染症の検疫体制の見直しを行う
・高温耐性型の農業品種の開発・普及をすすめる
・分散型の非常用電源ネットワークを導入する
・森林の適切な保全・管理で土砂災害や洪水への防災力を高める
・災害対策、気候変動対策を行っているNPOと連携し、プロフェッショナル人材を育成して公務員として雇用する
・防災計画のための予算を復活する。防災インフラ整備のための公共事業は、地元の事業者及び地元の住民が事業を担う制度を整備する
・巨大地震等で生産・供給体制が甚大な打撃を受けても、日本の物資供給に致命的な影響が生じないよう、生産拠点とそのバックアップを各地に分散・構築する
・被災者生活再建支援法の支援金の増額と、支給基準の見直しで、速やかな生活再建を実現する
・発災、復旧、復興、それぞれの時期に必要な情報が、すべての人々に提供されるしくみを構築する
・体育館等はあくまで緊急時の集合場所として使用し、中長期の避難所とすることを禁止する
・民間のホテルなど宿泊施設を中心に避難所として活用すると同時に、すべての自治体があらかじめ定めておいた地域にコンテナ型の仮設住宅を設置する
・災害時の避難に困難を抱え支援を必要とする避難行動要支援者への対応を強化し、個別計画を充実する。平時から防災研修・避難訓練への当事者参加をすすめ、事前避難体制を整備する
・要支援者の避難場所を福祉避難所に固定化せず、一般の避難所を誰もが利用できるユニバーサルな避難所として整備する
・「道の駅」を防災拠点化し、防災トイレや非常用発電機、貯水タンクなどを常備する。また各都道府県につき1か所は広域防災拠点として、ヘリポート・緊急車両・自衛隊車両・救援物資の収集拠点にする
・自衛隊の災害活動として救命救助、国道などの復旧などに限定せず、民間事業者や民家に関する復旧作業にも従事、寄与できる体制を整える
・災害ボランティアに関しても日給などの支払いを行い、人々の善意に頼り切った長期にわたる復旧・復興ではなく、被災者が一刻も早く日常生活を取り戻せる復旧・復興を行う
●インフラ
・国が30年間で190兆円の予算を確保し、老朽化した道路、橋、トンネル、水道管など社会インフラを改修・修繕・更新する
・いわゆる「水道民営化」(上下水道へのコンセッションなどPFI手法の導入)などは行わず、公営を維持する
・エネルギー100%自給型の快適な公営住宅を建設し、高齢者・単身者などの住まいの権利を保障する
・「燃料貧困」をなくすため、新規及び既存の戸建て・集合住宅の断熱基準をさらに高める。また省エネ設備導入のための支援を拡大する
・地域の工務店などが断熱施工、省エネ施行に対応できるよう、技術向上のための支援を行う
・学校や役所など、公共施設や公営住宅の断熱改修と太陽光パネル設置をすすめ、ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)にする
・交通の脱炭素化のために、最先端の技術を開発・普及させる。2030年には保有車の20%、2050年には100%を電気自動車など排出ゼロ自動車とし、充電設備を普及する
・鉄道・路面電車・バス網など地域の公共交通機関を維持し、アクセスを保障する。乗合型の公共交通(乗り合いタクシーなど)を各自治体で運営できるよう、財政支援を行う
・国鉄民営化の負の面を検証し、国の責任で鉄道網の再生支援を検討する
・鉄道網は低炭素かつ農産物等の重要な「輸送インフラ」であることを踏まえ、国の財政支援で維持する
・唯一、鉄道網が整備されていない沖縄県にも、公共交通整備の観点から鉄軌道整備の支援を行う
・高速道路料金は無償化する
・次世代のクリーンモビリティを実現するために、鉄道・路面電車・バス網など、各地の公共交通システムの充実と電化をすすめる。
・自転車専用レーンへの投資を支援し、自転車利用を促進する
・未確立の技術に対しても、公的資金と民間資金を活用して官民共同で技術開発を行う
・水資源など地域の自然環境や景観を著しく損ない、地域住民の意思に反したリニア中央新幹線や北陸新幹線の延伸については、計画を見直す
・現状の公共トイレは維持しつつ、個室トイレの設置・併設をすすめる。乳幼児連れ、障害者、性的少数者など多様なニーズに応じた安全な個別トイレを増やす
3 農林水産・動物福祉
農林水産業はいのちと暮らしを守る基盤である。私たちは農林水産業を国の安全保障の柱とし、その多面的な機能を維持・発展させる。まずは国内における食料自給率の50%超えを目指し、生産を支える価格保障・所得補償を行う。これまで経済界の思惑で行われてきた規制改革を見直し、必要な分野を再強化する。そのためにも年々下がり続けてきた農林水産関係予算を増額し、農業においても積極財政を実現する。
また、人も動物も同じ生き物として尊重される社会を目指し、動物福祉に基づいた畜産やペット産業の在り方を追求していく。
3-1農林水産 農林水産業はいのちと暮らしを守る基盤。その多面的な機能を維持・発展させる
農林水産業はいのちと暮らしを守る基盤であり、国の安全保障の柱でもあります。手厚い所得補償制度や価格保障によって、農林水産業と従事する人々を支え、その多面的な機能を維持・発展させます。また生態系や資源の持続性に配慮した、持続的な農林水産業を目指します。
●農業予算の大幅増額と食料自給率目標の設定
・食料の生産・確保が安全保障の要であることを踏まえ、減らされ続けてきた農業予算をまずは4兆円台に倍増する
・農業政策の基本に「価格保障」「所得補償(直接支払い)」「備蓄強化」を据える
・財政支出に基づく生産者への「所得補償(直接支払い)」を法制化する
・法的拘束力を持つ食料自給率目標を制定し、早急にカロリーベースの自給率を現状の30%台後半から50%に高め、さらに意欲的な目標を追求する
・肥料・飼料の安定的供給のために、輸入元の多角化と飼料用米など国内の供給体制の構築をすすめる
・食料の安定供給を政府の責務とし、気候変動や災害による食料危機に備えて食料自給率の向上や備蓄の確保を行う
・不測時に増産命令などを行う「食料有事立法」ではなく、恒常的な自給率向上に取り組むことを農業基本法に明記する
・手厚い生産者支援を導入する。農産物の「目標価格」を市場価格が下回った場合には差額を政府が補填するしくみや、備蓄用の買い取り制度などを拡充する
・農産物の価格保障を国が行うことにより、農業従事者の所得の引き上げを目指す
・水田農業は食料安定供給の基盤であることを踏まえ、主食としてだけではなく飼料用米の増産も支援する
・予算削減を目的とする「水田活用の直接支払交付金の厳格化」は行わない。その上で、大豆や麦、飼料作物を栽培する農家を支援する
・「勝てる農業」を目指す競争的な農業政策から、国内の食料を確保し、地域の文化・環境を保全する農業へと転換する
・米国から一定の輸入が事実上義務化されている「ミニマム・アクセス米(まい)」は廃止する
・余剰農産物については責任を持って買い上げ、公的備蓄や国内外の支援を必要とする人々への食料支援に活用する
・バター、脱脂粉乳については「介入価格」を設定し、それを下回った場合は「介入価格」で政府が買い入れる
・「漁業者所得補償制度」など支援の拡充により、漁業所得等の安定・向上と担い手の確保を目指す
・現行の畜産や漁業の経営安定支援策、通称「マルキン」や「積立ぷらす」については、生産者負担部分をなくし、公費で支援する
●有機農業・食育
・有機農業を促進する。技術を持った生産者に対する農業機械などの購入や、研修等による技術継承を支援し、有機野菜の生産拡大を目指す
・学校給食や保育所で地元の有機食材を利用した「有機給食」の実現を目指す。併せて、有機食材の生産農家の見学や実習を導入し、理解を醸成する
・遺伝子組み換え食品の生産・流通・輸入を規制する
・廃止された種子法の復活、種苗法における自家増殖禁止規定の見直しを行うほか、農業における新自由主義的な法制を見直す
●持続可能な林業
・森林や河川の整備、造林など「緑の公共事業」で地域の環境を保全し、雇用を創出する
・最先端の伐採用機器導入や調査などのためのデジタル化を促進し、林業の安全性を高めて地域の安定した雇用とする
・森林の計画的な伐採と、再造林(植林)率100%を目指すことで森林資源を保全する
・民有林活用による里山保全のための土地法制を整備し、森林保護を徹底する
3-2 動物福祉(アニマルウェルフェア) 人も動物も、同じ生き物として尊重される社会へ
工場的畜産から、動物福祉に基づいた畜産への転換を目指します。ペットの生体販売を禁止するとともに、殺処分ゼロに向けての取り組みをすすめ、人も動物も、同じ生き物として尊重される社会を目指します。
・工場的畜産を規制して、動物福祉(アニマルウェルフェア)に基づいた飼育や処分方法に関する基準を定める
・ペットの生体販売を禁止する。動物虐待に対する罰則の強化を行う。また取り締まりのためのアニマルポリスを導入する
・犬猫殺処分ゼロに向け自治体による引き取り・収容・殺処分を改善する。命の期限のない公的シェルターを全国各地に設置し、専門の公務員を常駐させる
・実験動物使用数の削減の義務化を追求する
4子ども・ジェンダー
どんな生まれであっても、すべての子どもたちの育ちと学びを保障する。それが政治の責任である。そして、すべての子どもたちは、その意志と、子どもとして生きる権利を尊重されなければならない。
日本のジェンダーギャップは先進国最低レベル。世界的に見ても男女の格差が大きすぎる。女性管理職や政治家は異常に少なく、男女の賃金格差、教育格差は大きい。この現状を改善するためには、男性や家制度が中心の法律や制度を構造的に改革する必要がある。同時に構造改革によって取り残される人がいないよう、現実的で無理のない意識改革をすすめていく。私たちは、「構造改革」と「意識改革」の2本柱で、個人の意識を変えながら、構造的な差別をなくしていく。
子どもたちが大人になる前に、すべての人が尊重される社会を、力を合わせてつくっていこう。
4-1子ども政策 子どもを真ん中に置いた社会を実現する
生まれにかかわらず、すべての子どもたちが育ちと学びを保障される社会を実現します。そして、すべての子どもたちが、その意志と子どもとして生きる権利を尊重される社会を目指します。
・子どもの貧困をなくすため、すべての子どもに所得制限なしで毎月3万円を給付する
・子ども手当導入の際に廃止された「年少扶養控除」を復活させる。「扶養控除」は維持する
・子どもの発育と食育を支えるため、小中学校の給食無償化及び導入をすすめる
・親族等のケアを担っている「ヤングケアラー」に必要なサポートを提供する
・子どもの主権の観点から校則を見直すとともに、体罰やいじめのない学校を実現する
・孤立を防ぐために、あらゆる人々が利用できる自治体やNPOの「居場所」づくりを支援する。子どもから高齢者まで、多様な世代の人々と交流できる、家でも学校でもない場づくりをすすめる
・児童虐待問題についての取り組みを強化し、一時保護など司法関与の強化と、家庭裁判所人員の増員をすすめる
・芸能界などにおける児童労働・性的搾取・人間的発達を犠牲にしたトレーニングなどの実態を調査し、被害者の救済措置制度を設けるとともに、人権方針を策定するなどの改革を促す
・国連子どもの権利条約が要請する「子どもの意見表明権」を保障するため、弁護士など第三者による「子どもの手続代理人(子どもオンブズパーソン)」制度の活用推進を国に求め、子どもの意見表明の権利を支援する
・児童相談所の職員の増員と研修などの質の向上、虐待児童の保護を担う介入部門と、児童の支援を行う支援部門の明確な機能分化を行う。また支援枠における専門職(児童福祉司や児童心理司など)の体制強化をすすめる。専門性を持った職員は「異動のない常勤公務員」として採用・育成し、虐待児童を支える体制を作る
・虐待を受けた子どもの、保護者との関係性修復や保護者への支援に加えて、家庭復帰後の継続的な支援を行う。そのために、ファミリーグループ・カンファレンス等のプログラムを通して、当事者の子ども、保護者、親族、専門職、地域の関係者が話し合い、家族を支えるインフォーマルな関係づくりを担う取り組みをすすめる
・家庭復帰が難しい場合は、施設入所措置や里親委託等の措置を、裁判所や第三者機関が行う。家庭復帰の可能性があるケースには、裁判所などの第三者機関が家庭復帰までの道筋を示し、支援する
・里親への研修、サポート、処遇を大幅に改善するとともに、里親になる要件について、単身者やまだ数少ない同性カップルの里親が増えるよう支援を行う
・虐待やDVの被害者をさらに追い詰める可能性のある離婚後共同親権については導入を見直す
・施設において、社会的養護下にある者の高校・大学等への進学で必要な授業料や諸経費、また運転免許取得費用等、自立を支えるための経済的支援を強化する。施設を出たのちも、賃貸契約や雇用契約などの契約について、継続的に子どもの保証人ないし保護者を務める人を行政の支援で指定するほか、こうした契約で親権者の有無が障害とならないよう措置を講じる。また保証人がいなくても住む家を確保できる制度づくりをすすめる
●インクルーシブ教育
・インクルーシブ教育・保育を推進し、障害の有無や、民族性、性自認などの違いが、子どもたちの相互理解を高め多様性を認め合う保育所・学校づくりを目指す
・現行の特別支援教育から、障害の有無で分け隔てられることなく共に学ぶインクルーシブ教育へ転換するための、具体的な達成目標、期間、予算を伴った行動計画を採択する
・授業や学校活動における合理的配慮を提供できるよう、人材の育成・配置をすすめる
・就学前からインクルーシブ保育・幼児教育を推進する。保育士・教員の加配、医療的ケアに対応できる人材の配置等、環境整備等への支援をすすめる
・障害児の就学先を教育委員会が判断・決定する現在の就学先決定のしくみを根本的に変え、どの子も地域の普通学校で学ぶことができるようにする。その上で、特別支援学校を希望する場合は、私立学校・民族学校等を希望する場合と同様に、学籍変更の手続きを行えるしくみにする
・特別支援学校在学の児童・生徒が居住地(通学区域)の学校へ転校を希望する場合の支援を拡充する
・高等教育における障害学生にとっての障壁をなくすために合理的配慮をすすめる
4-2子育て・教育政策 大人の都合で縛るのではなく、子どもの育ちに寄り添う保育・教育を
OECD諸国の中でも最低水準の子育て・教育予算を倍にし、包括的な公的子育て支援と、大学院までの教育費無償化を実現します。大人の都合を優先した規則や制度を押し付けるのではなく、子どもたちの育ちに寄り添う保育・教育を目指します。
・保育所、幼稚園、こども園、そして学童クラブといった形態にかかわらず、包括的な公的子育て支援を充実させる
・子どもの育ちや学び、ヤングケアラーなどの問題を所管する官庁を一元化し、縦割り行政による弊害をなくす
・奨学金徳政令で、奨学金返済に苦しむ約580万人の借金をチャラにする。すでに返済した人に対する合理的補償を検討する
・一部の「谷間世代」だけが司法修習の給付金を受給できなかった不平等を是正するため、財政措置を行う
・幼児から大学院生まで、保育・教育は完全無償化する
・大多数が高校に進学する現在、高校は希望者全入にする。最低でも公立高校の定員内不合格はなくす
・高等教育への公的支出については、最低でもOECD平均の4.0%を上回る財政規模を確保する
・夜間学校や二部授業の復活など、何らかの事情で学びを断念した人が学べる機会、学び直せる機会を保障する
・教員の待遇・労働条件を改善するとともに正規教員の数を大幅に増やし、現在進行中の深刻な教員未配置問題を解決する
・さらなる少人数学級化をすすめる。短期的には学級編成の基準をOECD平均並みの小学校25人、中学校30人以下を目指し、中長期的には20人以下学級の実現を目指す
・教員の成果主義や給与査定を禁止する。教員の多忙・長時間労働を解消し、教員が本来業務に専念するため正規教員、スクールソーシャルワーカー、スクールサポーター、部活動指導員等を増員する
•新型コロナ感染症拡大を受けて広まった「遠隔授業」について、通信費やPCなどの設備面の支援を行う
•フリースクールやコミュニティスクール、民族学校など、多様な「学校」を認め、公的に支援する
•大学の基礎研究に財政投資を行う。国立大学の運営費交付金を拡充し、成果主義的な研究費助成の割合を大幅に下げ、長期的な視点で研究に取り組めるようにする
・私学助成については、私立学校振興助成法の附帯決議にあるように、経常費補助率を50%に引き上げ、国立大学との公私間格差を是正する
4-3ジェンダー平等 性による差別のない社会へ
労働・教育の男女格差をなくします。女性が多くを担う、出産・育児・介護が「足かせ」になることがないよう、国が支えるしくみをつくるとともに、意志決定の場に女性を増やすことで、ジェンダーによって不公平が生まれる構造をなくします。
・非正規雇用の7割を女性が占める現状を鑑み、男女の賃金格差の是正になっていない「同一労働同一賃金」制度を見直す。罰則規定を導入し、非正規労働に不利となる給与の活用係数計算を改める
・男女の賃金格差の要因となっている、退職金や家族手当など福利厚生も含めた詳細な規定と罰則を設け、企業が改善できる状況づくりや経済的支援を実施する
・総合職・一般職の区分けによって女性が不利な状況に置かれている現状を改善するため、コース別雇用管理を廃止する
・産休と育休の給与補償に対する国庫負担割を引き上げ、現在の3分の2から100%の補償を実現する。また産休・育休が昇給・昇進の障害とならないよう規制を明確にすることで、男女の育休取得状況を改善する
・中小企業・個人事業者に対して、育児休暇取得にかかる財政や人材補充の支援を行う
・離職中の女性のキャリアを活かす復職支援や、職業訓練、資格取得の支援を拡充する
・育児手当・介護手当を国が創設し、家庭内のケアワークを適正に評価する
・保育施設や介護施設を拡充し、保育や介護従事者を公務員化するとともに、給与を月額10万円引き上げる
・学童保育指導員の給与や待遇を大幅に改善する
・制度やルールを決定する場に女性を増やすことで、ジェンダーによって不公平が生まれる構造をなくし、男女共に働きやすい環境整備を行う。政党は候補者及び役員の、公的機関は各種委員会や審議会委員の、大企業は管理職や役員の50%を女性に割り当てるクオータ制を法制化する
・すべての労働者が定時に帰宅できるよう、定時以降の残業代を5割増しにする等の罰則規定を設ける
・ジェンダー平等に取り組む企業に対して、補助金や税制などの優遇措置を行う。ジェンダー平等の推進を支援の対象に含め、その場合は支給基準となる要件を設定する
・女子生徒が入試で不利になる公立高校の男女別の定員(受験枠)の撤廃を目指す
・進路指導において「男は理系、女は文系」、「女性は手に職を」といったジェンダーの固定概念を与えないよう、進路指導をする教員に対する研修を実施する
4-4性の自己決定と多様性の尊重 多様な性を互いに尊重し合い、自己決定できる社会へ
からだや性についての学ぶ機会を保障することで、多様性を尊重するジェンダー「意識改革」をすすめます。そして、女性をはじめ、すべての人が自分のからだや性を自分で決定する権利を守ります。
・性に関する、精神面のケアを行うカウンセリングを保険適用にする
・中絶を自由診療ではなく、保険適用とする
・子どもを持つことが経済的負担とならないよう、すべての人が不妊治療の選択ができる環境を整備する
・出産費用や出産前後の支援をさらに拡充する
・出産時の麻酔利用を保険適用とし、無痛分娩が選択肢のひとつとなるようにする
・「生理の貧困」をなくすため、庁舎や学校、公共施設で生理用品を無料かつ申請なしに入手・利用できるように設置する。現行消費税制度の間は生理用品に軽減税率を適用するよう求める
・「性教育」は権利である。現行の性教育には含まれない、オーガズム・性交・多様な避妊方法・生理・中絶などの事象も発達段階に即して学ぶ。また、健康な人間関係を築くための情報収集の仕方・意見形成や意思決定の仕方・他者の尊重等を学ぶ
・「ジェンダー教育」を義務教育の一環とし、性の在り方に対する思い込みや押し付けを減らし、LGBTQ+(多様な性)、ルッキズム(外見に基づく差別)、ボディシェイミング(他人の体形を蔑む)などについて理解を深める
・性教育とジェンダー教育を各種団体や企業に対して提供する
・女性の性と生殖に関する自己決定権を尊重し、「配偶者の同意」を必要としない中絶の権利を求める
・妊娠中の女性が堕胎した際に刑罰に問われる、刑法堕胎罪を廃止する。同時に、遅れている日本の中絶技術を改善し、中絶した女性へのメンタルケアにも配慮する
・緊急避妊薬の薬局での販売を実現する
・国際的な人権基準に基づいた「LGBTQ+差別解消」を目的にする法律を速やかに法制化する
・同性婚を合法化する
・選択的夫婦別姓を実現する
・公的機関が発行する証明書(免許証やパスポート)において、性別欄にノンバイナリー(男女以外の性自認)を選択できるようにする
・配偶者のいる夫婦に限定されている特別養子縁組、どのような形態のカップルもしくはひとり親でも利用できるよう支援する
・各種支援金などが世帯ごとではなく個人に配布されるようにし、DV被害者や虐待被害者に対して、支援が行き渡らない現状を改善する
4-5性暴力 性暴力のない社会へ
いかなる性暴力も許しません。家庭、職場、学校などの現場から性暴力をなくすための構造改革と意識改革をすすめます。そして、性暴力の被害者を徹底的に守るとともに、加害者が更生できるしくみをつくります。
・DV(家庭内暴力)や児童虐待における性的被害について、行政調査で実態を把握し未然防止策を具体化する
・安全確保・回復支援・自立支援・教育支援を実施し、被害者が孤立しない社会的理解を促進する
・現行のDV防止法を改正し、被害者を網羅的に把握・保護するため、生活を共にしていない場合や婚姻関係にない場合、デートDVの被害者等も保護対象に加える
・現在は精神的DVの一部としてとらえられている、経済的DVについて独立した支援を強化する
・刑法性犯罪規定の改正をすすめる。性同意年齢を16歳に引き上げ、「強制性交」や「暴行」の定義についても、相手方の同意の有無を前提とし性的自己決定権・性的人格権を侵害しないよう改定をすすめる
・性犯罪における二次被害をなくす対策をすすめる。被害者が安心して相談できる対応窓口やカウンセリング窓口を行政が設置する
・災害時の避難所での性のトラブルをなくすため、女性やLGBTQ+の目線から対策をすすめる。避難場所で起こる性暴力への対策、プライバシー確保や多目的トイレの設置、生理用品の備蓄などを実施する
・加害者に対する更生プログラム(専門家による教育プログラムを実施後、個別カウンセリングによる再発防止)を拡充し、加害者が抱える問題の解決にも取り組む
・加害者が孤立しないよう、問題を共有できる互助会的な場を設置する
・「痴漢は性犯罪である」という認識の促進と、防止のための実態調査を実施し、満員電車をなくす対策を第一にすすめる
・わいせつ関連で不祥事を犯した教員の処分を適正に行う
・国の予算措置により、 第三者委員会を各学校に設置し、性差別やハラスメントなどがあった場合に、対応する職員を配置することを義務付ける。問題の隠蔽や、性犯罪を公平に検討するしくみを作る
5障害・共生
どんな障害があっても、医療的ケアが必要な人も、人種や国籍や文化が違っても、分け隔てられることなく共に学び、育ち、働き、暮らす社会。明日の生活を心配せず、人間の尊厳を失わず、胸を張って人生を歩める社会。将来に不安を抱えることなく暮らせる社会。生きているだけで価値がある社会。障害があることを障害としない社会。異なることが価値となる社会。それが私たちの目指す社会である。
5-1障害者政策 障害で分け隔てられることなく、共に学び、育ち、働き、暮らす社会をつくる
障害者総合支援法を見直し、どんな障害があっても、医療的ケアが必要な人も、安心して暮せるインクルーシブな地域社会をつくります。脱施設、精神科病院の社会的入院者の地域移行をすすめ、同時に施設・病院内の虐待防止・権利擁護のしくみをつくります。障害者雇用促進法を見直し雇用の拡大を図るとともに、福祉的就労に代わる制度を創設します。また、生活の権利や移動の権利が保障されるように、地域で暮らし続けるための介護・医療・保健サービスを充実し、交通・建物のバリアフリーをすすめ、意思疎通支援を拡充します。そして、所得保障を充実します。
●インクルーシブな地域社会をつくる
・障害者総合支援法を見直し、難病等の社会的バリアを抱え、制度から抜け落ちてしまっている人を含める制度に拡充する
・介護の必要な障害者の社会参加の権利を保障するため、重度訪問介護を充実・拡充する。18歳未満でも使えるようにするとともに、厚生労働省告示第523号の縛り(「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出」を対象除外)をなくし、重度訪問介護を就学・就労にとどまらず利用目的や対象者(年齢制限)を限定しないシームレスな制度(パーソナルアシスタンス制度)にする
・同行援護(視覚障害者の移動支援)・行動援護(知的障害者の生活と移動の支援)・移動支援も同様に、サービス利用目的に制限を設けず、使いやすい制度に見直す
・地域生活支援事業(自治体事業)の移動支援、意思疎通支援(コミュニケーション支援)を国の事業に、任意事業を義務的事業にし、福祉における地域格差をなくす
・常に医療的ケアを必要とする人に対する地域での在宅医療サービスを充実する。外出・通勤・通園・就労・就学・旅行への訪問看護利用を可能にするとともに、訪問看護を長時間継続して利用できるようにする
・医療的ケアの必要な障害児の保育・宿泊・親のレスパイトケア制度(医療的ケアの必要な子どもと家族が一緒にくつろいで短期間過ごすことのできる施設)を充実する
・障害者の日中活動の場(障害者総合支援法上の生活介護、自立訓練、就労継続支援等のサービス事業所)への支援を拡充するとともに、地域移行の取り組みを推進する
・本人の意思に反した代行決定など運用上の問題が多数発生している成年後見制度を抜本的に見直し、本人の権利行使を尊重し、新たな意思決定支援(支援付意思決定)の制度を創設する
・65歳以上の障害者に対する介護保険優先原則をなくし、希望する人は障害福祉サービスを受けられるように見直す
・支援・介助に携わる従事者の待遇改善のため、賃金の底上げを公費(税)で恒常的に図っていく
・医療的ケアも含め、どんな障害があっても安心して暮らせるようバリアフリーな公共住宅を増やす
●脱施設と地域移行
・箱物施設から地域サービスに人的・物的資源と予算を移し、期間を区切って計画的に施設入居者、精神科病院の社会的入院者を減らす。原則新規入居・入院は認めず、入居施設、精神科病院は地域サービスのバックアップ機能(緊急時の短期入所、本人のためのレスパイト等)に段階的に移行していく
・地域移行、地域生活支援の推進の在り方を検討する場を設置するため、全施設入所者への意向調査を実施する
・地域移行促進のために、施設・病院にいるときから、重度訪問介護や移動支援、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)などの地域サービスを利用して地域生活を体験できるようにする。また地域定着促進事業の利用期限をなくしていく
・障害者虐待防止法を改正し、病院・学校・保育所・官公署を対象に含める
・施設・病院における虐待防止のため、利用者からの相談を受けられるような外部からの障害当事者オンブズパーソンを随時入れることを法制化する
・外出の自由、年間退院・退所者の数、外部者の出入りの自由、施設内でのケアの内容などを数値として見える化し、それを報酬単価、介護報酬に反映させる。また職員の処遇改善に直結させる等、具体化をすすめる
・入院患者・施設利用者自身がサービス評価を行い、施設運営に参加できるようにする
・施設・病院における虐待、権利侵害をなくしていくために、先進的な権利擁護の取り組みをしている施設・病院への視察や、当事者を含む講師による虐待防止研修を義務化する
●障害者雇用
・雇用率未達成企業の存在を前提に成り立つ矛盾した制度である障害者雇用促進法を抜本的に見直し、適切な雇用の拡大を図る。福祉的就労に代わる制度を創設する
・障害者雇用率制度(法定雇用率)の対象範囲を、障害者手帳を所持しない発達障害者、難病患者等に広げる
・合理的配慮の提供を義務化するにあたり、すべての建物のバリアフリー化、コミュニケーションツールの整備などの費用を国が補助する
・通勤・就労に移動支援、重度訪問介護などの障害福祉サービスを使えるように見直す
・職場開拓・定着・継続雇用のため、事業所及びハローワークに情報保障や障害特性を踏まえたコミュニケーション手段を有するジョブコーチ(職場適応援助者)を配置する
・障害者雇用における最低賃金減額特例を撤廃し、経営的に厳しい中小企業等に対しては国が賃金補填措置を取る
・特例子会社制度を見直し、親会社への移行を図るしくみをつくる
・障害者の法定雇用率を上げるとともに財政支援を行う
・法定雇用率達成のために、障害者雇用を肩代わりする企業を通して大企業の特例子会社等をつくり、単純作業にあたらせるといったしくみは、障害者の社会参加と労働を通してインクルーシブな社会をつくるという障害者雇用促進法の趣旨に反しているため、禁止する
・「福祉的就労(就労継続支援B型)」の場で働く障害者(利用者)の現状改善のため、障害者のみを集めて訓練するしくみでなく、障害者も健常者と同様に、最低賃金を保障し、社会的協同組合、社会的企業のような、雇用・被雇用ではない第三の働き方への国・自治体の支援を法制度化する
●医療・保健サービス
・心身障害、精神障害、高次脳機能障害、難病など、医療・保健との関係が深い障害の特性にあった支援体制構築のため、医療計画を立て、医療・リハビリにおける地域格差をなくす。公立病院、療育センター内に医療型ショートステイ施設を設ける
・障害特性に応じた支援を、保育サービスなどと併用して地域の同世代と切り離されない環境で受けられるよう、地域格差をなくしていく
・自立支援医療について、低所得層への配慮をはじめとした負担軽減を図る
・強制入院・強制治療をなくす。そのために短期目標として、精神科病院への措置入院・医療保護入院の要件を厳格化、入院期間に関して見直しを図る
・身体拘束・侵襲性の高い強制治療(薬物投与及びm-ECT)を禁止し、強制治療を受けた人を救済する方策を検討する。精神科病院従業者の定員を、入院患者に対し、医師数は一般病床の3分の1、看護師・准看護師は3分の2と規定している精神科特例をなくし、適正な基準を定める
・大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件を契機に成立し2005年に施行された「心神喪失者等医療観察法」は、誰も予測不可能な「再犯のおそれが全くない」と認められるまで精神障害者を強制入院させることを事実上可能にするものであり、「精神障害者は危険だから閉じ込めるべき」という差別と偏見を助長する法律であるため、廃止を目指す
・2015年に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」における指定難病の要件のひとつである患者数の要件「人口の約0.1%程度」を削除し、患者数に基づく医療費助成対象の線引きをなくす
・指定難病であっても、「軽症」と診断されると原則として助成対象から外される。診断時軽症であっても、安心して治療を受け、重症化を防ぐことができるよう、助成対象の「軽症者外し」を撤廃する
・小児慢性特定疾病と指定難病における医療費助成の移行問題を解消する。(原則18歳未満の子どもを対象にした「小児慢性特定疾病医療費助成制度」は、788疾病が対象だが、難病法に基づく「指定難病」は341疾病しかないため、20歳を超えると助成対象外となり打ち切られてしまう)
・難病、慢性疾患のある人が治療を続けながら就労を続けられる支援体制を確立するとともに、適切な合理的配慮の提供がすすむよう、行政、民間事業者への働きかけを行っていく
●所得保障
・障害年金の認定基準を見直し、機能障害種別格差や地域格差の是正等をすすめる
・年金・手当以外の所得保障がない重度の障害者が健常者と同じように地域社会で生きていくために、所得保障の制度の充実を図る
・無年金障害者に国としての救済措置を設ける
・障害者手帳保持者に公共交通機関の割引制度を精神障害者にも適用し、差別的取り扱いをなくす
●バリアフリー
・障害者基本法を見直し、移動の権利を明記する
・バリアフリー法改正によって生活関連施設に位置付けられた施設すべてのバリアフリー化を推進する。また法の基準以下の交通関係施設や小規模店舗におけるバリアフリー化を促進するため国が補助する
・既存の公立小中学校等について、障害に対応したスロープ、エレベータ―の設置等のバリアフリー化を計画通り実施できるよう、国の補助の算定基準を引き上げる
・建築許可を発行する当局、技術者・建築家、都市計画者、交通輸送事業者、サービス提供者等の関係者に対し、当事者が参画したアクセシビリティに関する職員研修を必須化する。公共的な建築の設計時及びフォローアップには、重度障害者を含むあらゆる立場の障害者の人たちの参画を必須とし、誰もが使いやすいバリアフリー化を目指す
・駅のホームドア、音響信号機の設置率を上げる。空港アクセスバス・長距離バスを計画的にノンステップ・リフト付きバスなどのアクセシブルなものにしていく
・公共交通機関において、オンラインでの予約から決済・乗車までをスムーズに行えるようなシステムを構築する
・障害者や高齢者で介助が必要な人が安心して公共交通機関を利用できるように、必要な介助員の配置を拡充する
・すべての車いすを利用者に対応できるユニバーサルデザインタクシーについて、当事者参画の下もと、認定基準を見直す
・座席を複数必要とする障害者については一人分の料金で搭乗できるように改善し、国が補助する
・障害特性に応じた情報提供や介助など、ハードとソフト一体の環境整備を行う
●意思疎通支援
・障害者基本法に情報アクセシビリティの権利を明記し、障害者が自由に情報にアクセスでき、自らのコミュニケーション手段を選択できるように、ニュース放送などに手話・字幕が必ず付くようにするなど、官民問わず、情報保障をすることを義務化する
・障害者総合支援法を見直し、地域生活支援事業(自治体事業)である聴覚、言語機能、音声機能、視覚等の障害のある人に対する意思疎通支援(手話通訳、要約筆記、点訳等)の派遣を国の事業にする
緊急時における情報アクセシビリティを保障するために、公共交通機関や駅、役所などに電光掲示板の設置や手話通訳者の配置などを必須にし、国がその費用を補償する
・視覚障害者等が利用できるようにウェブアクセシビリティを義務化する
・視覚障害、その他の理由で紙媒体では読めない人のために、テキストデータの提供体制を整備し、読書バリアフリーを推進する
・成年後見制度を根本的に見直し、知的障害、精神障害者、認知症高齢者も本人が意思決定することを前提に意思決定の支援を行う
・手話を日本の言語として定める法律を制定し、手話言語の普及・保存・研究等を行うことで手話文化の振興をすすめる
●優生思想に対抗し、「尊厳ある生」を
・旧優生保護法に基づき、被害を受けた約2万5千人に対し、国の責任と補償を明確化し、優生保護法問題の全面解決に向けた法整備を図る
・安楽死・尊厳死の議論について、自分の命を人に委ねなくては生きていけない人たちの人権が蔑ろにされたままの状況が改善されていない。本人の意志や権利がしっかり守られ、誰もが生を平等に全うできる社会ができなければ、命の選択の議論はすべきではないと考える。「尊厳死」の法制化、「アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning :ACP)」の推進には反対します。「尊厳ある生」を生きられるための人、医療・介護のサポート体制の充実、医療資源の充実を図る
5-2 多文化共生 国籍や民族で分け隔てられることなく、共に学び、育ち、働き、暮らす社会をつくる
外国人差別をなくし、共生社会の礎となる、外国人の権利を守る法制度を整えます。「外国人技能実習制度」を廃止し、入管施設での人権侵害をなくすなど、国籍や民族で分け隔てられることなく、共に学び、育ち、働き、暮らす社会を目指します。
・通商協定を相手国の労働者の人権や労働環境などに配慮した条項にアップデートする再交渉を行う。同時に労働運動の抑圧や児童労働などの人権抑圧下で生産された競争力ある製品が輸入され、ダンピングや価格競争が強いられる場合には、制裁関税を課すなどの対処を行う
・入管施設への収容について司法審査による決定を導入し、収容には期限を厳格に設ける。収容者に対する相次ぐ人権侵害事件の再発を防ぐために、独立した「第三者委員会」を設置し再発防止策を講じる。また、様々な事情を考慮して外国人に「在留特別許可」を付与する際、国連自由権規約が保障する子どもの最善の利益や家族の結合権といった権利を踏まえ、家族分断が生まれないよう法制度の改善を行う
・難民支援を拡充するため、独立した「難民認定委員会」を設置し、難民認定業務を法務省・出入国在留管理庁から移管する
・国連自由権規約委員会が求めるように、仮放免中の入管収容者の就労を認め必要な支援を行う
・共生社会の礎となる、外国人の包括的な権利を規定する法律を制定する
・在留外国人を「管理」する法制度ではなく、外国人の権利を守る法制度へと改定する
・「ヘイトスピーチ解消法」だけでなく、さらに外国人差別をなくすための法制度を整備する
・各種学校である外国人学校 (朝鮮学校含む)を教育費無償化対象に加える
・多文化共生社会を実現するため、外国にルーツを持つ住民が自治体行政に参画する「外国人市民代表者会議」のようなしくみをつくる。公募で選考された「外国人市民」は、要望や調査審議の結果をまとめて首長などに報告し、首長は議会に報告・公表するとともに、施策に反映するよう取り組む
6社会保障・医療
コロナ禍によって日本の医療制度と社会保障制度の脆弱さが明らかとなった。それはこれまで行われてきた緊縮財政による医療と社会保障の切り詰めの結果である。私たちは、この間違った医療政策・社会保障政策を大きく転換し、国費を投じて医療と社会保障を充実させる。そして医療従事者、介護・保育従事者の処遇を大幅に改善し、労働時間や業務負担を削減することで、医療やケアの現場で働く人を増やしていく。
6-1社会保障政策 何があっても心配しなくて良い、そんな社会保障制度を
誰もが必要となる高齢化による医療や介護、生活保障については、逆進性の強い保険制度や消費税を財源とするのではなく、当面は国債発行によって支えながら、長期的には累進性の高い税制度により持続的な制度への転換を目指します。
●健康保険・介護保険
・健康保険証は国民の医療アクセスを保障する重要なものであるから、マイナンバーカードへの統合は行わない
・後期高齢者医療制度は廃止し、全額公費負担とする。これによって「現役世代」の保険料負担を軽減する
・保険料負担率の高い国民健康保険の国費負担割合を現行の41%から50%に、中小企業従事者の協会けんぽの国庫補助率を健康保険法本則の上限20%にまで引き上げ、保険料負担を引き下げる
・介護保険の国庫負担割合を50%以上に引き上げ、保険料を引き下げる
・雇用保険の国庫負担割合を25%に引き上げ、保険料引き上げをやめる
・介護保険の利用者負担を全員1割に戻し、低所得者の利用料免除・減免を制度化する
・介護認定の「要支援1、2」のホームヘルプ、デイサービス利用を「介護予防・日常生活支援総合事業」(市町村事業)から再び保険給付に戻し、「総合事業」代用によるサービスの低下・利用者の負担増を防ぐ
・介護保険サービスを趣味など生活の充実にも利用できるようにする
・介護保険施設入居者・ショートステイ利用者の食費・部屋代の軽減措置(補足給付)の切り下げは行わない。補足給付の対象をグループホーム等にも拡大する。
・年間3兆円の財政投資で介護従事者の給与を月10万円引き上げ、介護の現場で働きたい人を増やす
・最先端の介護用機器を導入して、介護業務の負担を軽減する。ただし人材確保困難と介護ロボット・ICT活用等を口実とした「人員配置基準緩和」は行わず、現場の実態に即して人員配置基準を改善する
・直接訪問介護に従事する時間以外の「移動時間・待機時間・キャンセル」時間等については、介護報酬とは別に公費で負担するしくみとする
・民間事業者だけでは必要なサービスの量と質がまかなえない、過疎地域で訪問介護サービスを行う事業所が近くにないなど、個別の事情により介護を断られる利用者等に対応するため自治体の福祉職を増員し、「公務員ヘルパー」を創設する
・親族等のケアを担っている「ヤングケアラー」に必要なサポートを提供する(4-1重複)
・将来的に介護保険制度は廃止し、税方式にすることを検討する。その原資は、社会保険料の事業主負担を企業利益に応じた社会保障税として調達する(1-2重複)
●生活保護
・生活保護の申請は国民の権利である。自治体の水際作戦を禁止し、生活保護申請の手引きを窓口に置き、誰でも申請できるような環境をつくる。また、申請をためらわせる要因となっている扶養照会(親族への照会)は廃止する
・憲法で定められた生存権保障が実現できているか、捕捉率の算定方法を研究協議し、定期的に調査・公表するしくみをつくり、生活保護の捕捉率を現状の2割から大幅に高める
・生活保護の相談・申請受付・調査・決定のプロセスにかかわる相談員、ケースワーカーなど専門性をもった人員を増員する。保護費の給付(経済保障)と自立支援(社会福祉援助)、不正受給の防止と罰則適用は、複数の職員で担当し、利用者へのハラスメントを防ぐ
・生活保護の住宅維持費・敷金、出産扶助、入学準備金、移送費、家具什器費などの一時扶助については、最低生活費より少し上の収入でも、必要な扶助を必要な期間受けられるよう制度を見直す
・生活保護の国負担を「10割」(全額国庫負担)とし、市町村の財政負担を理由とする実施機関による生活保護法運用上の格差をなくす
●年金
・「最低保障年金」を導入し、低年金、無年金者の生活を支える
・200兆円にのぼる「年金積立金」については、国債やグリーン債の購入に充てるほか、段階的に年間一定額ずつ取り崩して年金支給額に上乗せする
・すべての人に、個人単位・無条件で、お金を給付する所得保障政策「ベーシックインカム」についても、既存の社会保障制度での受益を損なわないことを前提に導入できるかどうか慎重に検討する
6-2医療政策 財政支援と人材の育成で、現場の負担を減らし、すべての人に行き渡る医療を
国立病院、公立病院の統廃合はストップし、地域医療構想を見直します。緊急時の医療体制逼迫を防止するために、余裕のある公的医療の供給体制を確保します。そして、国際的に見て少ない医師や医療従事者の数を増やすことで、現場の負担を減らし、すべての人に行き渡る医療を目指します。
・国立病院、公立病院の統廃合、病床の削減を推進してきた「地域医療構想」は行政的医療の拡充を図るために、根本的に見直す
・緊急時の医療体制逼迫を防止するため、平時においては十分に余裕のある公的医療の供給体制を確保する
・患者の権利を保障する法制度を整備し、患者が医療を受ける権利、医療現場で患者への権利侵害が起きた場合の権利擁護・救済のしくみ、医療政策の決定過程における当事者参加のしくみづくりなどの環境整備を行う
・国際的に見て少ない医師や医療従事者の数を増やし、長時間労働や医療事故を防ぐ
・医学部定員を増やし、 国が計画的に人材育成を図る体制を整え、医師不足を解消する
・看護師の給与については、産業別最低賃金(特定最賃)を設定し、地域間格差を是正する
・農薬、建築資材、柔軟剤等に含まれる化学物質による健康被害「化学物質過敏症」について、一層の調査を徹底するとともに、医療体制を整備するなどの対策を講じる
・強い香料による「香害」については、アメリカの一部自治体が推進しているように、職場・医療関連施設・学校などを無香料にするなど、原因物質となる化学物質を予防原則によりできるだけ使用しない環境を確立する
・香料の成分表示について、まだ義務化されていないものについても家庭用品品質表示法上の指定品目などと成分表示を義務付けることを検討する
・新型コロナ後遺症やワクチン接種の後遺症やそれが疑われる場合には、国が責任をもって医療支援、補償等を行う
・潜在看護師の復帰を支援するとともに、コロナのような感染症の再発に対応できるように国が医療機関の財源を補償し、増員と合わせ労働環境の抜本的改善を図る
7政治改革・行政改革
日本の政治は一部の既得権益を持つ者に支配されている。世襲、利権の温床であり、いまだ男性が9割を占める議会を変えるために、私たちは徹底した政治改革をすすめる。また、司法や行政による不当な介入や扱いをなくすため、チェック機能を強化する。そのためにも情報公開と公文書の管理を徹底し、議会と行政、そして司法を透明化する。
7-1政治改革 トンデモ法と利権政治から脱却し、公正で公平な政治を!
政策決定における「利益誘導の禁止」と「当事者参画の徹底」を追求します。そして、利害関係者のためにつくられた問題法制(トンデモ法)の見直しと改正をすすめます。
●政治改革
・政策決定における「利益誘導の禁止」と「当事者参画の徹底」を目指す
・利害関係者への「利益誘導」につながることが判明した国家戦略特区制度を廃止する
・元閣僚経験者や政府高官が辞任後も政策作成に関与し、自分の企業に利益誘導できるしくみを見直すとともに、「利益相反行為」への規制強化を行う
・内閣人事局の在り方を見直し、公正な公務員人事を確立する
・国会議員や地方議員の安易な定数削減は、多様な国民の声が届かなくなることから反対する。また、誤った政策である「身を切る改革」は行わない
・企業団体献金の禁止を法制化する(イコールフッティング、大企業から裏金をもらう自民党のような政党にも禁止された場合に限る)
・「官から民へ」の民営化政策を見直し、必要な分野は再公営化をすすめる
・政策決定過程の透明化と行政監視における当事者参画の徹底を制度化する。障害者、高齢者、子ども、生活困窮者、ニート・ひきこもり、LGBTQ+、被災者、外国人等のマイノリティ(社会的少数者)に関する政策決定における審議・検討過程、制度を執行する行政の監視機関等に、当事者を3分の1から半数の割合で参加するしくみをつくる
・本会議及び委員会での発言の自由を保障し、抗議活動に対して安易な懲罰を課すことを禁止する
・国会議員の質問権である「質問主意書」に対する答弁書の内容が形骸化していることを踏まえ、政府の答弁書作成過程の透明化と説明責任を明確化する
・障害や病気、出産等の各議員の事情に応じた合理的配慮を目的として、本会議や各委員会等における審議や視察にオンライン方式の導入を検討する
●いわゆる「トンデモ法」の見直し
■安保・防衛関連
・防衛財源確保法(軍事費倍増・増税を可能に、第211回国会 2023年)
・防衛産業基盤強化法(武器輸出促進、第211回国会 2023年)
・特定秘密保護法(全体像が見えない機密指定のしくみ、第185回国会 2013年)
・組織犯罪処罰法改正(「共謀罪」法、第193回国会 2017年)
・重要土地利用規制法(外資規制を口実にした国民監視・私権制限、第204回国会 2021年))
・「安保法制」(平和安全法制整備法と国際平和支援法)(集団的自衛権行使容認、第189回国会 2015年)
などの対米従属の外交政策と戦争経済を推進する法制の見直し
■原発推進関連
・GX電源法(老朽原発運転延長、第211回国会 2023年)
・GX推進法(脱炭素に原発活用、第211回国会 2023年)
などの脱炭素と脱原発を阻害する法制の見直し
■マイナンバー関連
・マイナンバー法改正(保険証廃止、第211回国会 2023年)
・デジタル改革関連法(第204回国会 2021年)
などの財界の要望によるデジタル規制緩和法制の住民視点での見直し
■農業関連
・種子法廃止(種子法を廃止する規制緩和、第193回国会 2017年)
・種苗法改正(登録品種の自家増殖の権利を制限、第203回国会 2020年)
・農業競争力強化支援法(公的機関が有する種苗の知見民間事業者への提供を促進、第193回国会 2017年)
などの新自由主義的農業関連立法の見直し
■規制緩和関連
・PFI法及び水道法改正(水道コンセッション推進、第196回国会、第197回国会 2018年)
・国家戦略特区法及び一連の改正(総理のトップダウンで利益誘導、第185回国会ほか 2013年)
・特定複合観光施設区域推進法及び整備法(IR整備法、カジノ解禁、第189回国会、第196回国会 2015年、2018年)
・TPPなどのISDS条項を持つ自由貿易協定の見直しや再交渉(第192回国会ほか 2016年)
・大深度地下使用特措法(道路陥没による住民生活への影響や環境破壊のリニア新幹線などを促進)
■労働・社会保障関連
・労働者派遣法改正(雇用の不安定化の根源、2004年)
・労働基準法改正(高度プロフェッショナル制度)(定額働かせ放題、第196回国会 2018年)
・医療介護総合確保推進法(病床削減推進、第186回国会 2014年)
・健康保険法改正(後期高齢者自己負担2倍、第211回国会 2023年)
・技能実習法及び入管法(1993年に創設された外国人労働者低賃金労働、廃止を目指す)
・入管法等改正(非人道的な難民の強制送還規制緩和、第211回国会 2023年)
など
■緊縮財政関連
・財務省設置法(設置目的に「健全な財政の確保」として緊縮財政・PB黒字化の根拠に、1999年)
・財政法(4条に赤字国債発行の禁止をうたうことが実情に合わない、1947年)
など国民経済の健全な発展のための積極財政の阻害要因になっている法律
■文教科学関連
・改正国立大学法人法(国立大学運営に財界の意向を反映、第212回国会 2023年)
・科学技術振興機構法改正及び国際卓越研究大学法(大学ファンド法)(一部の先端大学だけに投資収益を配分、第204回国会、第208回国会 2021年、2022年)
などの財界への利益誘導のために公教育の在り方を歪め、競争的な資金配分を強化し、長期的に科学技術力を低下させる法制度
※これらは一部であり、上記の以外にも問題のある法制度は多数存在する
7-2司法・行政改革 司法・行政による不当な介入・扱いを許さない
実効性のある国民審査など、司法に対するチェック機能を強化します。また警察による不当な監視や勾留の禁止、取り調べの可視化などの改革をすすめます。
・最高裁判官の国民審査を実効性のあるものに改正する
・行政訴訟の立証責任を行政側に負わせる
・取り調べの全過程の録画等による可視化を行う。また不当な長期拘留を禁止し、代用監獄を廃止する
・日本のみが立ち遅れている「再審制度」について、証拠開示についての理不尽な規制を廃止する
7-3選挙制度改革 誰もが挑戦できる、開かれた選挙へ
供託金の廃止など選挙制度の見直しで、誰もが選挙に挑戦しやすい環境をつくります。国民が主権者として政治に主体的に参画できるよう、主権者教育を充実するとともに、選挙運動のあり方を見直します。
・供託金制度を廃止し、誰でも政治にチャレンジできる環境を作る
・選挙運動のため選挙期間中に休暇が取得できるようにする
・立候補休暇制度を法制化し、経験豊富な社会人が政治家を目指すことのできる環境を整備する
・二大政党制の実現を目指して導入された小選挙区制ではなく、選挙区内でのより多様な意見が反映される選挙制度を目指し、比例代表制の強化などを含めて検討する
・公職選挙法を改正し、障害や難病のある人が参加しやすい選挙制度を実現する
・障害者議員が障害のない議員と同等に活動できるよう、議会などハード面のバリアフリー化をすすめる。また質疑や視察等における、個々の障害の状態に応じた合理的配慮を提供する
・教育における「主権者教育」を充実する
・学校や自治体主催の消費者教育を充実させることで、マルチ商法など詐欺的手法の被害を減らす
7-4情報公開・公文書管理 徹底的な情報公開と公文書管理で透明性を高める
公文書管理の在り方を根本的に見直し、恣意的な廃棄や改ざんをなくします。そして徹底的な情報公開で、議会と行政、そして司法を透明化します。
・国の根幹である「公文書管理」を見直す。メモや電子メールの類いにまで公文書の範囲を広げ、保存期間「1年未満」の区分を廃止する
・公文書管理に携わる専門部署(公文書管理庁)を設置し、すべての公文書をデジタル化し、半永久的にデジタル形式で保存する。説明責任及び歴史の検証に備えるために、公文書管理の専門職員を配置する
・刑法155条(公文書偽造等)や刑法156条(虚偽公文書作成等)に加え、新たに「公文書改ざん」についての罰則規定を創設し、森友学園問題の財務省の決裁文書改ざんのような事案の再発を防止する
・記者クラブ制度を廃止し、自由な取材体制を保障する
8 憲法・外交安全保障
真の独立国家となるために、日本は今こそ専守防衛と徹底した平和外交によって周辺諸国との信頼醸成を強化し、北東アジアの平和と安定に寄与すべきである。そして、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約をただちに批准し、「核なき世界」の先頭に立つことにより地域の安定をリードする。私たちは現行憲法を尊重するとともに、専守防衛、徹底した平和外交、そして核廃絶の先頭に立つことを目指す。
8-1憲法の尊重
憲法を守り、その実践のために必要な法や制度の整備をすすめます。特に「健康で文化的な最低限度の生活を保障」するよう求めていきます。
・安易な改憲ではなく、現行憲法の実践と必要な法制度の整備を行う
・自民党の改憲4項目、「自衛隊の明記」「緊急事態条項」「合区の解消」「教育環境の充実」は、現行法の運用や改正で実施可能であり、改憲は必要ない
・憲法9条が戦後の日本が度重なる「外圧」に対抗し、国際紛争に関与しないために寄与してきた役割は極めて重要であることを踏まえ、現行の条文は維持する
・憲法53条の臨時国会召集規定については、国会法などにおいて、憲法に規定する「衆参いづれかの議員の総議員の4分の1以上の要求があった場合」に、明確に期限を区切って招集を決定することを政府に義務付けるように改める
・日本国憲法第25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という権利を守るため、積極財政で第25条第2項の「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」を実践する
・有事に政府への権限集中を認める緊急事態条項の新設は行わない
・財政均衡の規定の創設は行わない
8-2外交安全保障 専守防衛と重層的な平和外交、核廃絶の先頭に立つ
日米友好の前提のもとで「対米追従外交」から脱却し、安保法制の見直し、日米地位協定の改定、辺野古新基地の中止をすすめます。専守防衛と徹底した平和外交によって周辺諸国との信頼を醸成し、北東アジアの安定に寄与するとともに、北朝鮮による拉致問題の解決を目指します。そして唯一の被爆国として、核廃絶の先頭に立ちます。
・「対米追従外交」から脱却する。日本と米国が平等な主権国家同士の関係を築くために、日米間のこれまでの密接な友好関係は維持しつつ、アメリカ追従の外交政策を見直す
・私たちアジア太平洋地域に生きる者が再び戦う惨禍が起きることのないよう、日本国憲法の理念を活かした「平和外交の徹底」を貫徹することを「わが国の外交の基本方針」に据える
・民主的な相互互恵の関係をASEAN諸国と結び、経済連携を深める
・北東アジア非核地帯条約の創設を目指し、地域の安全保障対話を促進する
・日本国憲法上、行使することができない集団的自衛権の行使を盛り込んだ2015年の安保法制による一連の法改正は違憲であり、白紙撤回する。敵基地攻撃能力の保有を明記した岸田政権の「安保3文書」も同様に白紙撤回する
・防衛財源確保法に関しては、いたずらな軍拡と国民負担につながるため廃止する
・5年間で43兆円の軍事費倍増計画を中止し、非軍事の「メイド・イン・ジャパン」に投資する
・防衛装備移転3原則の相次ぐ緩和に対しては歯止めをかけ、防衛装備品の海外輸出は行わない
・沖縄県が翁長県政時代の2017年9月に提起した要請書(日米地位協定の見直しに関する要請)に書かれた条項(11項目)のもとで日米地位協定の改定及び地元の基地負担軽減や横田空域などの管制権、航空法など国内法の適用などを求める
・「思いやり予算」については現行の日米地位協定でも求められていないため、廃止する
・現在の日米合同委員会は廃止する。過去の議事録や資料については国立公文書館に所蔵し公表する
・沖縄県の住民の意思を尊重し、辺野古新基地建設は中止する。南西諸島のミサイル基地化は行わない。米国政府にカリフォルニアなど米本土への海兵隊移転を要請する
・核兵器禁止条約を早期に署名・批准する
・アジア太平洋諸国の大学や大学院等に留学する学生への特別奨学生制度を創設し、対米関係だけではなく、アジアにおける草の根の人的交流を拡大・深化させる「アジア太平洋人材交流ネットワーク」を構築する
・大国の世界秩序に対する国際法に反する現状変更の試みについては諸外国と連携して、国際法遵守を求める
・諸外国への民主化・人道主義を名目にした軍事介入には距離を置き、専守防衛と外交努力による問題解決、民生の人道支援を基本とする
・これまでの「アメリカ頼み」の政策から脱却し、日本独自の問題として日朝間での直接交渉を目指す。民間外交、議員外交なども駆使するとともに、文化・芸術あらゆる面での交流も活用して、日朝間のチャンネルづくりを急ぐ
・拉致問題の解決に向けて、日朝・日韓関係を修復する
・中国との関係を重視し、緊張する米中関係の橋渡し役を担い、緩和に努める
・拉致被害者や行方不明者、帰還事業の日本人妻や子どもたちへの「人道的配慮」に基づく帰国のために、政党外交、議員外交など従来の政府だけのチャンネルに依存しない平和外交を展開する
・北朝鮮側の「拉致は解決済み」の主張を覆すため、独自生存情報等の取得に全力を尽くす。北朝鮮への戦後補償は必須のことであり、それらを具体的に提示することで、北朝鮮側が拉致問題に対して真摯な態度を示す動機付けとする
9地方自治・地方財政
地方政治は、私たちの日々の生活そのもの。食べ、働き、子どもを育て、遊び、年を取る。そんな日々の生活を守ることが、国を、すべての人を守ることにつながる。暮らしに最も近い、自治体の政治を積極財政に変えること。それが人々の暮らしを豊かにし、国の政治を変えることにつながる。地方と国は対等であり、互いに協力し合いながら、何があっても心配しなくていい、そんな政治を目指していく。地方の現場の声を国会に届け、国の地方切り捨てをやめさせる。そのためにも、れいわ新選組の政策を地方から実現していく。
9-1地方自治 地方のことは、地方で決める
れいわ新選組は市民一人ひとりが自由な立場で発言・行動し、政治を動かす社会を目指します。地方自治体は市民に一番身近な政府として、国とも対等な立場で政策を推進する存在です。
・住民投票は有権者の5%の請求で実施を義務付ける
・無作為抽出市民による会議や住民参加型予算に取り組む
・大型公共事業など重要議案や市民からの請求により、行政・議会からの住民説明会・公聴会を義務付ける
・地方からの提案制度を充実させ、国の政策を現場で実践する地方自治体からチェックする
・地方分権、市民自治をすすめることが地方経済を活性化させるとの認識のもと、地方議会においても国の経済政策の充実を訴えて、「地方から国を揺らす」政治を実現する
9-2地方財政 国の緊縮財政を地方から打ち破る
国の緊縮財政による地方切り捨てをやめさせ、地方自治体が人々の暮らしを支えるために必要な財源を積極財政で保障します。地方と国は対等であり、互いに協力し合いながら、豊かで多様な地域社会を目指します。
・消費税を廃止し、国から地方への交付金を増やす。過去の「トップランナー方式」のような、国による地方財政の削減強要をやめさせ、自治体の財政を豊かにする
・地方交付税交付金を一定水準に抑えている、「一般財源総額実質同水準ルール」を見直す
・施設などのハード事業だけでなく、子育て支援などのソフト事業にも地方債の発行を可能にする制度改正を行い、返済年限も長期化させる
・国が地方に押し付けている「国が返済を約束した地方債」や、「過去の特別会計の借金」は地方公共団体金融機構が買い取る。機構はその資金を得るために債券を発行し、日銀がこれを引き受ける
・景気の過熱時には地方法人税の増税などを実施する
・地方に使い途を委ねる、地方一括交付金を増やす
・税収が不足した場合、不足分を国と地方が折半するルールを廃止し、国が地方の財源不足分に責任を持つ
・地方銀行・地方信用金庫と連携し、地方債については償還ではなく借り換えを推奨する。また地方債の借り換えに際しては、現金による「減債基金」の積み立て義務を免除するか、地方債の償還年限を延長する
・ふるさと納税は、返礼品競争による自治体間の財源の奪い合いとなっているため、特産物の開発やそれを利用した商品開発の意欲を削がないように注意しながら、抜本的見直しを行う